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お裁縫の得意な、りおちゃんのおばあちゃんのお話です。
りおちゃんは、おばあちゃんが針の穴に糸を通す姿を見るのが好きでした。りおちゃんがやりたいと言うと、おばあちゃんは、りおちゃんの手を取って一緒に糸を通してくれていました。小学生になったりおちゃんが久しぶりにおばあちゃんに会ったとき、おばあちゃんは歳のせいか、なかなか糸を通すことが出来なくなっていました。そこで今度はりおちゃんがおばあちゃんの手を取って通します。
おばあちゃんが今までに優しくしてくれた分、今度は自分が優しくしてあげたいと感じるお話です。
りおちゃんのおばあちゃんはお裁縫がだいすき。りおちゃんのお気に入りのワンピースも、ウサギさんがついた手提げバッグも全部おばあちゃんが作ってくれたものでした。
りおちゃんはおばあちゃんがお裁縫をしている姿が大好きでした。特に針の穴に糸を通す時。スーっと糸が通っていく様子は何か不思議で、おばあちゃんの手元をついついジーっと見てしまいます。おばあちゃんも、いつもは簡単に糸を通せる道具を使いますが、りおちゃんが見ているときは片目をつぶりながら、得意げに糸を通しました。
「やってみたい!」そう言ってりおちゃんがお願いすると、おばあちゃんは何度失敗しても、針の穴に糸が通るまで嫌な顔をせずに付き合ってくれました。なかなかできずにふてくされると、「一緒にやろっか」と言って、りおちゃんの手を握り、スーッと一緒に糸を通してくれました。
りおちゃんは小学生になると、お友達と遊ぶのが楽しくなり、なかなかおばあちゃんの家に遊びに行かなくなりました。それでもおばあちゃんはたまにりおちゃんの洋服やカバンを作って送ってくれました。「おばあちゃん元気かな〜」おばあちゃんが作った洋服を着ていたりおちゃんはふと最近おばあちゃんに会っていないことに気が付きました。
お休みの日、久しぶりにりおちゃんがおばあちゃんの家に遊びに行くと、おばあちゃんは相変わらずお裁縫をしていました。「なに作ってるのー?」「りおちゃんにハンカチ作ってあげようと思ってね…」そう言うとおばあちゃんは、昔のように片目をつぶって針の穴に糸を通そうとしました。
しかしなかなか糸は通りません。「おかしいなー…」と言いながら、おばあちゃんは今度はメガネをかけて挑戦しますが、なかなか糸は通りません。「ごめんねりおちゃん…おばあちゃんかっこいいところ見せられなくなっちゃったよ…」おばあちゃんは悲しそうに笑いました。
「歳をとって、目が悪くなっちゃったのかな…」そう言ってうつむくおばあちゃんに「大丈夫だよおばあちゃん!」りおちゃんは明るく言いました。「今度は私が一緒に糸を通してあげる!小学校でね、お裁縫の授業があったんだよ!一人で糸、通せるようになったの!」
そう言うと、りおちゃんはおばあちゃんの手を握り、スーッと一緒に糸を通してあげました。「今度はりおがおばあちゃんを助けるから、いつでも言ってね!」りおちゃんの優しさに、おばあちゃんは胸がいっぱいになりました。
おしまい