チャンネル登録:
お話・読み聞かせ , ehonly , えほんりー , 絵本 , 読み聞かせ
りなちゃんが小さなママになるお話です。
りなちゃんのママは仕事でしばらく遠くで暮らすことになります。ある日、りなちゃんはパパが下手なおにぎりを作りお弁当に持って行っているところを見つけます。パパが可愛そうになったりなちゃんは、次の日代わりにおにぎりを作ります。見よう見まねで作ったおにぎりは、上手に作れませんでしたが、パパはとても喜んでくれました。その日からずっと、おにぎり作りがりなちゃんの日課になりました。
結果がどうあれ、子どもが頑張ってくれる姿が親にとっては一番嬉しいことなのです。
りなちゃんはパパとママの3人家族。ママは毎日、朝早く起きてパパのお弁当と朝ごはんを作っていました。りなちゃんも朝早く起きた日は、隣でママが料理をしている姿をじーっと眺めていました。
ママが作るお弁当は色とりどりでいろんなおかずがびっしり詰まっていました。「パパ羨ましい!」お昼ご飯が給食のりなちゃんは、それが毎朝の口癖でした。
そんなある日、ママが仕事でしばらくの間遠くに住むことが決まりました。りなちゃんは通い始めたばかりの学校を転校したくなかったので、パパと一緒に家に残ることにしました。ママが出発する日「明日からりながちっちゃいママだからね。パパをよろしくね。」そう言ってりなちゃんを抱きしめました。
パパとの二人暮らしが慣れたころ、りなちゃんはいつもよりもうんと早く目が冷めました。キッチンに行くと、パパがおにぎりを握っているのが見えました。形はぐしゃぐしゃで、大きさもバラバラです。りなちゃんはママの作ったきれいなお弁当を思い出して、なんだかパパが可哀相に思えました。
「りながちっちゃいママ。」ふとママの言葉を思い出したりなちゃんは、次の日パパが寝ている間にこっそり起きてキッチンに向かいました。
いつも料理しているママを眺めていたので、なんとなく料理の道具や材料の場所はわかっていました。問題は、おにぎりを作ったことがないこと。「ママ、こんな感じだったよね…」思い出しながら手に塩を付け、ご飯を丸めました。
1つめは中身を入れ忘れました。2つめは塩を付けすぎました。3つめは小さすぎました…。なかなかうまく握れません。りなちゃんは悔しくて泣きそうになりました。
その時「あれ?りな、どうしたんだ?」パパが起きてきました。りなちゃんはパパを見るなり、こらえていたものが溢れて泣き出してしまいました。
「おいおい。どうした。なにしてたんだ?」パパはりなちゃんを抱きしめました。「あのね…りな…パパにお弁当つくりたかったの…。パパに可愛いお弁当、持って行ってほしかったの…。ママが作ってたみたいにできると思ったの…。」
パパがテーブルを見るとぐしゃぐしゃのおにぎりが3つ置いてありました。「あれ、りなが作ったのか?パパのために?すごいじゃないか!とっても上手だよ!うれしい!ありがとう!」「ほんと…?」りなちゃんがパパを見上げると、パパの目には涙が溜まっていました。
それからパパは、「今日のお昼は今までで1番最高のごちそうだ!」そう言って、嬉しそうに鼻歌を歌いながらおにぎりを袋に詰めました。そんなパパを見て、落ち込んでいたりなちゃんもだんだんと嬉しくなりました。
りなちゃんはその日から、早く起きた時には必ずパパにおにぎりを握ってあげました。それはママが帰ってきてからも、りなちゃんがお姉さんになっても、大人になってお嫁さんになるまでの間、ずーっと続きました。
おしまい