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ねねちゃんとママのベビーサインのお話です。
ママは、ねねちゃんが愛しくて「大好き」と言ってねねちゃんにキスをしていました。すると、ねねちゃんにとってキスが大好きを伝えるベビーサインになっていました。ある日、ねねちゃんはママのほっぺにキスをします。大好きを伝えてもらったママは嬉しくて育児の苦労がすべて消えてしまいました。
大好きな人に、大好きをちゃんと伝えたくなるお話です。
ねねちゃんのママは新米ママ。夏の暑い日、産まれたばかりのねねちゃんと毎日悪戦苦闘していました。仕事に出掛けるパパを玄関で見送った途端、ねねちゃんの泣き声。急いで抱っこしますが泣き止みません。おむつを替えても泣き止みません。歌を歌ってみても、背中をトントンしてもなかなか泣き止みません。
「お腹がすいたのかしら…」おっぱいを出してみるとねねちゃんは必死に吸い付きました。でも、新米ママとまだ上手に吸えないねねちゃんはおっぱいを飲むのも悪戦苦闘しました。
ある昼下がり、ねねちゃんが火がついたように大泣きを始めました。抱っこをしても、おむつを替えても、おっぱいをあげてもダメ。途方に暮れたママはねねちゃんと一緒に泣き出してしまいました。配達に来た生協のおばさんが、「きっと暑いのよ」と泣いているママにアドバイスをくれました。
ママは生協のおばさんに言われた通りに氷枕を首の後ろに入れてやりました。するとねねちゃんは泣き止みスヤスヤと眠り始めました。疲れ果てたママは、ねねちゃんを布団に置くと、ホッとして横で一緒に寝てしまいました。
数か月してねねちゃんは、プクプクと赤ちゃんらしくなり、ママもちょっとママらしくなりました。おっぱいの後抱っこされたまま寝入ってしまったねねちゃんのほっぺに、ママはにチュッとキスをしました。寝ながらねねちゃんがニコッと微笑むと、ママはねねちゃんをたまらなく愛しいと思いました。
それから毎日、ママは寝起きのねねちゃんの頬にチュッとキスをするようになりました。ニコッと微笑むねねちゃんに「大好きよ」と自然といつも伝えていました。
しばらくすると、まだしゃべれない赤ちゃんが身振り手振りで自分の気持を伝える「ベビーサイン」をねねちゃんが覚えはじめました。「ごはん」「もっと」「お水」「おいしい」。ママはねねちゃんの気持ちがちょっとだけわかるようになりました。
ある日、いつもの様にママがチュッ「大好き」とやると、ねねちゃんが「もっと」のベビーサイン。まだご飯をあげてないのに何を?もしや…?、と思いもう一度ねねちゃんのほっぺにチュッとしてみました。ねねちゃんはニコニコしながら「もっと」のサイン。ママは再びチュッ。ねねちゃんは満足そうにニッコリしました。
そしてねねちゃんは「ンパッ。ンパッ」と口を鳴らしました。ママはドキドキしながらねねちゃんの顔に自分のほっぺを近づけてみると、ねねちゃんはママのほっぺに口をつけてンパッと音を立てました。まだ口を尖らす事の出来ないねねちゃんの初めてのキスでした。
ママはベビーサインで「もっと」をして見せ再び頬を近づけてみました。ねねちゃんはまた、ンパッとキスしてくれました。ねねちゃんの中ではキスが「大好き」のベビーサインになっていたのです。それに気付いたママは、今までの全ての苦労が吹っ飛びました。
おしまい