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昔話「こぶとり爺さん」で、隣の爺さんが踊りを練習したらという視点から作られた物語です。
鬼とのダンスバトルに勝ちこぶをとってもらった正直者の爺さんの話を聞き、隣の爺さんは同じように鬼とダンスをしますが、
あまりにも下手だったため、こぶをつけられてしまいます。
しかし、それを聞いたお婆さんと、ダンスの特訓をし、爺さんはこぶをとることに成功します。この物語からは、諦めずに毎日練習を重ねることの大切さを学べます。
昔、あるところに、ほっぺたに大きなコブのあるおじいさんが二人いました。
1人は正直者で左のほっぺたにコブがあり、もう1人は特に正直者でもなくて右のほっぺたにコブがありました。二人の家は隣同士でした。
ある日、正直者の爺さんが山へ木を切りに行った時のこと。作業を終えて帰ろうとした時突然大雨が降ってきました。
近くの大きな木の根元にほら穴があったのでそこに入って雨宿りをすることにしました。
しばらくすると、昼の疲れが出てきたおじいさんは眠ってしまいました。
やがて、ドンドン、ズンチャカズンチャカ、ズンチャカパとノリノリの音楽が聞こえてきました。
おじいさんが目をさますと、もう雨は上がっていてお月様が登って明るく照らしています。
おじいさんは、寝過ごしたと思い外の様子を覗いてみると、そこには鬼たちが集まりダンスパーティーを開いているではありませんか。
お酒を飲みながら皆踊っています。村のダンスクラブのような光景です。
ズンズン、キュッキュッ。と曲が流れる中、おじいさんの体は勝手に流れるように歩き鬼たちの中心に入り踊りだしました。ズン、チャ、ズンズンチャ、ドゥードゥドゥ、ドゥン。
そう、おじいさんは根っからのダンス野郎なのです。
これには鬼たちも驚き、いつの間にかダンスバトルが始まりました。
鬼たちは順番におじいさんとダンスで挑みます。
しかし、誰もおじいさん以上のダンスを踊ることができません。 「まいった、じいさんスゲェよぅ。 俺たちの負けだ。そうだ、そのコブをとってやろう」と鬼の一人がいうとおじいさんのこぶをつかんで、ブチっ!
なんとコブがとれたではありませんか。とれたほっぺたもなんともなく平らなほっぺ。 おじいさんはコブが邪魔で仕方なかったので、大いに喜びました。
「やったわい、コレでもっとすごいダンスが踊れるぞい。」
そう言うと婆さんの待つ家へと帰って行きました。
「じいさんまた来てくれよなーバトルしようぜー」と手を振りながら見送る鬼たち。
家に着いたじいさんはさっそくばあさんに、ダンスバトルの話を聞かせました。
「おやまぁそんなことがあったのかい。それはよかったねぇ。」
と婆さん。「そうだ、隣のおじいさんにも教えてあげましょう。コブが邪魔で困っていたからね。」
そうして、隣のじいさんに教えてあげたその夜のこと。
さっそくじいさんは一人山に入って行きました。遠くの方から、ズンズンチャ、キュドゥドゥンドゥ。「あそこだな、ちょちょいと踊ってコブをとってもらおう」と急ぎ足で向かいます。
「お、じいさんだ今日も勝負だぜー、、あれ、昨日のじいさんじゃないな。コブがついてるし。まいーか、とにかくダンスバトルだ」そういうと鬼は踊りだしました。
おじいさんは鬼の踊りに圧倒され。手も足も出ません。
「なんだい、じーちゃん全然ダメじゃん。そんなじーちゃんにはコレやるよ、ほーらよっ」そう言うとおにはおじいさんの左のほっぺたにズドンッと。コブをくっつけたのです。おじいさんは顔の両ほほにコブをつけ泣きながら走って帰って行きました。
「うぇーん、ばあさんやー全然ダメじゃったよーおまけにコブまでつけられてしもうたぁ。。」
そうお婆さんに話すと、お婆さんは立ち上がり「あなたは昔から運動神経が鈍かったからねぇ。今からでもおそくないわ、特訓しましょう!」
そう言うと突然お婆さんは軽快なステップを踏み、踊りだしたのです。
トン、トン、クルトン、クルクルトン!スットントン!
ブレイクダンスのように回りだしました。
おじいさんは開いた口がふさがりません。
「婆さんや、いつからそんな軽快なダンスができるようになったんじゃ。」
おじいさんがたずねると、「わたしゃねぇ独身の頃は町で人気のダンサーじゃったんじゃよ。今日からみっちりとダンスの特訓じゃ。」
そうして、一ヶ月、二ヶ月、月日が流れたある晩。
お婆さんが「じいさんや、準備ははいいかい?決戦の日じゃ。」と言うと、
「ヨォ、ヨォ、準備は万タン、やる気は満タン、鬼を倒すのちょー簡タン!」
お爺さんは自信満々に答えます。
こうして練習の日々をこなし、ついに鬼たちとダンスバトルです。
「ヨォじいさんまた来たのか、また泣いて飛んで帰るんじゃないか?!」そう言って鬼たちは笑いました。さぁ、バトル開始です。
華麗なステップで踊りだすおじいさん。
クルクルクール、クルクルクルクルと回りだしました、すると、コブの遠心力でどんどん回転が速くなっていきます。
クルクルグルグルグルグルグルスポーン!
なんと、2つのコブが勢いで飛んで行きました。
飛んだコブが二人の鬼のほっぺたにスポンッスポンッとくっつきます。
驚いた鬼はビックリして、泣きながら走り去って行きました。
こうして見事にコブをなくしたおじいさんは足早に家に向かいます、家に着くと何やら家の中が騒がしい様子、ズンドゥクドゥドゥドゥ、
ヘイ、ヘイ、ヨヨヨォ!
扉を開けると、お婆さん、隣のお婆さん、隣りのおじいさんが踊っています。
「みんな、鬼に勝ったぞぃ!」
おじいさんもその中に飛び込み踊りだします。
諦めずに毎日練習に練習を重ねたおじいさんはコブも取れてみんなと楽しく踊って過ごしたとさ。
めでたしめでたし