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昔話「桃太郎」の桃太郎が人間のお婆さんに拾われず、鬼のお婆さんに拾われ育てられるお話です。
鬼ヶ島の海辺には、人間のゴミが流れ着き、魚が死に、海の水が変わってしまいます。そこで桃鬼郎は、3人の家来を連れて人間のゴミでいかだを作ります。そして人間島へ行き、人間退治をします。
このお話は、海を汚すと苦しい思いをする人がいること、海のありがたさに気づき、生かされていたことを学べるでしょう。
昔々、あるところにお爺さんとお婆さんが住んでいました。
ある日、お爺さんは山にしばかりへ、お婆さんは川で洗濯をしていました。すると川の遠くの方から何かが流れてきます。おばあさんは「おや、なんじゃあれは」と目をこらし、よく見てみるとなんと!大きな大きな桃が流れてくるではありませんか。
おばあさんはその桃を拾おうとてを伸ばしました。
しかし、ちょうど手を伸ばした先に岩があり桃がぶつかり流れがかわりました。
お婆さんは桃を拾うことができませんでした。
桃はそのまま川下へ流れて見えなくなりました。
やがてその桃は海にたどり着き潮の流れによってさらに流され、ある島にたどり着きました。そう、そこは何と鬼が暮らす鬼ヶ島だったのです。
海辺を散歩していたお婆さん鬼が桃を見つけ家に持って帰りました。
婆さん鬼は爺さん鬼とその桃を割ろうと金棒を振りかざし桃に「ドンッ!」と一撃。すると桃が光を放ちパカッと真っ二つに割れました。
なんと中から元気な男の子が生まれました。
子供のいなかった鬼の老夫婦は喜び「これは神様からの贈り物じゃ」と喜びました。
この子は桃から生まれたので桃鬼郎(とうきろう)と名付けられました。
桃鬼郎は鬼のもとですくすくと育っていきました。
ある日、いつものようにお婆さん鬼が海辺の散歩から帰ってきて元気がありません。
爺さん鬼が「どうしたんじゃい?」と聞くと。
「はぁ〜最近海辺のゴミがひどいんじゃ。向こうの人間が住む人間島(にんげんじま)から流れてくるみたいじゃがぁ。魚は死に、海の水の色も変わってひどいありさまじゃ。
このままではわしらの命も危険じゃがぁ。。」それを聞いた桃鬼郎は「僕が人間をこらしめてきます!」と立ち上がりました。
数日後、出発の日がやってきました。ばあさん鬼は、桃鬼郎に泥団子を持たせました。
婆さん鬼と爺さん鬼は心配そうに桃鬼郎を見送りました。
桃鬼郎が人間島に向かっている途中毒ヘビに出会いました。
「やあ、どこへ行くんだい」と毒ヘビが話しかけてきます。
「人間島へ人間をこらしめに行くんだ」と桃鬼郎は言います。
すると毒ヘビは「その腰につけた泥団子1つおいらにくれないかい?そしたらおいらもお供するよ。」と言いました。
桃鬼郎は腰の袋から泥団子を1つ毒ヘビへあげました。
そして1人と1匹は人間島へ向かって歩きだしました。しばらくして今度は吸血コウモリがやってきて「おい、その泥団子をくれたら何でも言うことを聞いてやるぞ」と言ってきました。
桃鬼郎は迷わず1個渡して「一緒に人間島に行こう」と誘いました。
こうして1人と2匹は、歩き出します。
しばらくすると、上からスーと1匹の毒グモが糸を引いて降りてきました。
「やあ、みんな揃って楽しそうだね。どこに行くんだい?」桃鬼郎が説明すると。
「そうかい、じゃあ僕も泥団子くれたらついて行くよ。」と言いました。
こうして1人と3匹になり人間島へいそぎました。
やがて海辺にたどり着き、汚れきった海を眺めて
「人間めー許さない、あんなに綺麗だった海を。」と声を揃えました。その辺りに散らばったゴミやペットボトル、発泡スチロールやタイヤなど捨てられたものをかき集めつなげてイカダを作りました。そのイカダで人間島へ出発です。
そうして、人間島へたどり着くと。人間は大慌て!
「キャー鬼が来たー!助けてー!」「鬼だー鬼だー鬼が来たぞー!」「毒ヘビだー!」「吸血コウモリだー!」「毒グモだー!」と慌てふためき、叫びます。
中にはこっちに向かって豆を投げてくるものもいました。
桃鬼郎は金棒を振り上げ大きな声で人間に向かって叫びました。
「やい!人間ども!どうしてお前らは綺麗な海を汚すんだ!
お前らのせいで海の生物は死に、綺麗な青色はどす黒く濁り、俺たちの生活も危険な状態になってんだ!お前達は周りのものや自然から生かされているという事も気付かずに好き勝手しやがって!!」そう叫びながら1人と3匹は大暴れ。人間達は血相を変えて逃げ出しました。そうして人間退治に成功した桃鬼郎達は鬼ヶ島に帰りました。
それから数日後、いつもの散歩から帰ってきた婆さん鬼がニコニコと嬉しそうです。
桃鬼郎と爺さん鬼が「どうしたの?」と声を揃えて聞きました。
「最近海が綺麗になってきたんじゃ。それとほれっ。」と1つの瓶を渡してきました。
その瓶の中には手紙が入っていました。手紙にはこう書かれています。
【鬼ヶ島の皆さんへ。私たち人間は、周りの生き物や自然のことを考えずに好き勝手に生活してきました。自分さえよければよい、周りのことは関係ないと。自分たちの見えないところで苦しんでる人がいることも知らずに。私たちは自分たちの力で生きてきたつもりでした、しかし生かされていることに気づかされました。本当にごめんなさい。これからは周りのこと目には見えないところ未来のことも考えて行動しようと思います。ありがとう鬼さん。】
手紙を読み終えた桃鬼郎の目にキラリと光るものがありました。鬼の目にも涙が流れたとさ。
めでたしめでたし